窓ガラスは、光を取り入れ、外の景色を楽しみ、風雨を遮る便利な素材です。
けれど同時に、割れやすい・熱や紫外線に弱い・防犯性が低いといった「弱点」も抱えています。
そんなガラスの弱点を、貼るだけで補えるのが窓用フィルム。
飛散防止・目隠し・遮熱・断熱・UVカット・防犯対策…
必要な機能を、必要な窓にだけ、後から追加できる。
「暮らしの安心を、もう一枚貼って守る」――
それが窓フィルムの役割です。
視線防止(目隠し)
昼の視線対策(目隠し)に。
スモーク:クルマのリアのプライバシーガラスのような見え方。終日安定で目隠しは強め。そのぶん室内は少し暗くなります(反転なし)。
ハーフミラー:片面ミラー(マジックミラー)のように反射で隠す。昼(外が明るい)に強力だが、夜(室内が明るい)になると見え方が逆転=室内が丸見え。カーテン/ブラインド併用が必須。
ハイブリッド:スモーク×ミラーのいいとこ取りで、見え方の反転が起こりません。
※ すりガラス風や、白・黒・鏡の低透過タイプも選べます。
※ 日射を抑えて暑さも和らぎます(効果は色・濃さ等によります)。
スマート(調光)
電源ONで透明、OFFで不透明に。
すりガラスのように視線を遮り、昼も夜も目隠しできます。(反転しません)
好きなときに透明に戻せるので、景色や明るさも楽しめます。
目隠しできるため「目隠しフィルム」に分類したいところですが、電気で切り替えができる点で別にしています。
また、不透明時にはプロジェクターのスクリーン代わりにもなります。
使用例:
会社の会議室:会議中は不透明に、それ以外は透明にして開放感を確保。
商店のショーウィンドウ:営業時間内は透明に、時間外は不透明にして防犯・目隠しに。
※電気を使うため、配線の取り回しを考える必要があります。特にFIX窓(ハメ殺し窓)に向いています。
👉 まさに…未来の窓に早変わり。
断熱(低放射・Low-E)
特殊な金属膜で赤外線(熱)を反射し、室内の熱が逃げにくくなるフィルムです。
冬は暖房熱を室内にとどめ、夏は外からの熱をカット。冷暖房効率を高めます。
透明度の高いタイプもあり、景色や明るさをほとんど損なわずに使えます。
熱の移動には「伝導・対流・放射」がありますが、Low-Eフィルムはこのうち放射(Emissivity=E)をLow(抑える)のが特徴。
建物の熱は約50〜70%が窓から逃げているとされ、窓での放射熱を減らすことが体感の快適さに直結します。
※ 紫外線カット効果により家具や床の日焼けを防ぎます。
※ 飛散防止効果もあり、ガラスが割れても破片が飛び散りにくくなります
👉 つまり…窓そのものがグレードアップします。
遮熱
日射に含まれる赤外線(熱線)を反射・カットして、室内に入る暑さをやわらげるフィルムです。
真夏の日差しを抑えて冷房効率を高め、電気代の節約にもつながります。
透明タイプからミラー系・スモーク系まであり、見た目や明るさに合わせて選べます。
建物に入る熱のうち、約70%は窓からといわれています。
窓での熱の侵入を減らすことで、体感の快適さが大きく変わります。
世界初の窓ガラス用フィルムは「遮熱」
実用的な「窓ガラス用フィルム」としては、1968年にマディコ社が開発した遮熱フィルムが“世界初”とされています。
一方で、その前段階として1966年に3M社が「太陽光コントロール窓フィルム」で初の特許を取得した記述もあり、これが窓フィルム技術の出発点と見ることもできます。
※ 紫外線カット効果で家具や床の日焼けを防ぎます。
※ 飛散防止効果があり、ガラスが割れても破片が飛び散りにくくなります。
※ 濃い色やミラータイプを選べば、視線防止(目隠し)にもなります。
👉 だから…夏の窓が快適に変わります。
飛散防止
ガラスが割れたときに破片が飛び散らないように貼る安全フィルムです。
地震・台風などの災害や、子どもの遊び・不意の衝突による割れでも、破片が貼りついて落ちにくくなります。
ケガの防止に直結するため、もっともベーシックで普及しているタイプです。
👉 快適な窓であっても、割れると危険。ガラスの飛散防止こそが安心を完成させます。
※ 災害時によく見かける「テープで×貼り」は応急的な備えにすぎません。本来の対策は飛散防止フィルムを貼ることです。
※ 紫外線カット効果もあり、家具や床の日焼け防止にもつながります。
※ 透明度が高く、貼っても景色や明るさはほとんど変わりません。
👉 いざという時に“ガラスが凶器にならない”安心をつくります。
防犯(貫通防止)
飛散防止フィルムの発展形で、ガラスを割って侵入する手口に対抗する厚手タイプです。
通常のガラスは割れるとすぐに穴があきますが、防犯フィルムは強い衝撃でも簡単には貫通しません。
空き巣や強盗にとって「時間がかかる窓」は大きな抑止力になります。
👉 防犯フィルムは“侵入させない”ための備え。鍵と同じくらい大切な窓の防犯対策です。
※ 公的な防犯性能の認定(CPマークなど)を受けた製品もあります。
※ 厚みがある分、貼り替えや施工には専門技術が必要です。
※ UVカット性能も兼ね備えており、家具や床の日焼け防止にもつながります。
※ 便利屋さんやDIYでホームセンターで売っている小さなフィルムを四隅やクレセント周りに貼るケースもあるようですが、専門のフィルム施工では窓全面に貼るのが基本です。
UVカット(紫外線対策)
紫外線(UV)を99%以上カットするフィルムです。
室内に差し込む紫外線を抑えることで、家具や床、カーテンの色あせ・劣化を防ぎます。
また、肌や目へのダメージも軽減できるので、美容や健康の観点からも有効です。
実はガラスは紫外線をかなり通してしまいます。
単板ガラス:約70%透過
複層ガラス:約50%透過
トリプルガラス:約35%透過
👉 つまり、どんな窓でもUV対策はフィルムで補う必要があります。
👉 UVカットは“見えない敵”から暮らしを守るフィルムです。
※ 飛散防止性能も備えており、割れた際の破片対策にもなります。
※ 透明タイプが多く、景色や明るさをほとんど変えずに使えます。
その他(特殊用途)
身近なシーンで役立つ特殊用途フィルムもあります。
防虫フィルム:光の波長をコントロールし、虫を寄せつけにくくします。
抗菌・抗ウイルスフィルム:表面に特殊加工を施し、衛生対策として有効です。
デザイン・装飾フィルム:すりガラス風や模様入りなどで、インテリア性を高めます。
反射防止フィルム:映り込みを抑えて展示品をきれいに見せる効果があります。
👉 暮らしや店舗の快適さ・見せ方をプラスできるのも窓フィルムの強みです。
また、生活シーンではあまり出番がないものの、世界にはこんなフィルムも存在します。
防爆フィルム(Blast-resistant):爆風による破片飛散を抑えるために、公共施設や大使館などで使用されます。
電磁波シールドフィルム(EMI/RF Shielding):電磁波の透過を抑えるため、研究施設や医療機器のある部屋などで使われます。
👉 これらは当店での取り扱いはありませんが、特殊分野向けに開発されています。
窓フィルムのことを知ったのは、もう7~8年前のこと。
当時は会社員でしたが、生活が少し苦しく、副業として何か始められるものを探していました。
お金もなかったので、低資金で始められそうな窓フィルムの仕事には、正直かなり惹かれました。
ただ、そのときは結局、何も始められずに時間だけが過ぎていきました。
数年後、「やっぱり何か始めたい」と思って、いくつかの話を聞く中で、もう一度、窓フィルムのことを思い出しました。
決め手になったのは、小学6年生のときの出来事でした。
同じ町に住んでいた女の子が、あまりにも綺麗に磨かれた窓ガラスに気づかず、勢いよく突っ込んでしまって、大きなケガをしてしまったんです。
もしその窓に飛散防止フィルムが貼られていたら、ガラスが割れたとしても、顔にそんな傷を負うことはなかったかもしれない――そう思ったときに、窓フィルムの価値が一気に自分の中で深まりました。
思い返せば、もっと幼い頃の記憶もあります。小学1年生のとき、座っている父の上にふざけて乗ったら、2つ下の弟も乗ってきて、耐えきれなくなった父が崩れた瞬間、弟がサッシの角に頭をぶつけ、数針縫うケガをしました。私は無傷でしたが、家の中の“ちょっとした勢い”が事故に変わることを、あの時に強烈に学びました。あの角にクッションや、ガラスに飛散防止の備えがあったら…と、今でも考えます。
自分の子どもにも、他の誰の子にも、あんなケガはしてほしくない。
だから私は、窓フィルムを“売る”んじゃなくて、“守る手段を広める”仕事として、少しずつでも知ってもらえるよう活動を続けています。透明のまま強くする。見えないところで事故リスクを下げる。地味だけど、生活を確実に良くする選択肢だと信じているからです。
窓フィルムは70年以上の歴史を持ち、時代ごとに用途が広がってきました。
1948年
Hy-Sil(のちのMadico)が、世界初の透明反射ウィンドウフィルムを商業化。実用的な窓フィルムの始まり。
1966年
3Mが「太陽光コントロール窓フィルム」で特許を取得。日射の熱やまぶしさを抑える技術の基盤に。
1968年
Hy-SilがMadico(Material Distributors Inc.)として法人化。窓フィルム事業を世界展開する体制を整備。
1970年代
スモーク・ハーフミラーなど、遮熱・目隠し機能を持つ多様な製品が登場。商業ビル・店舗での採用が拡大。
1980年代
Low-E(低放射)断熱フィルムが開発され、住宅向け市場にも普及。
1990年代
防犯・防災フィルム(飛散防止強化タイプ)が普及し、安全用途で需要増。
2000年代
デザイン・装飾フィルムが拡充。インテリア性や意匠性を兼ね備えた商品が増える。
2010年代
スマートフィルム(調光)が登場。スイッチで透明⇔不透明を切り替える“未来型窓”へ。
2020年代
外貼り対応・高性能タイプが普及。省エネ基準やカーボンニュートラル対応で、住宅・商業ともに導入が加速。
👉 まとめ:
世界初は1948年の遮熱フィルム(Hy-Sil/Madico)
その後、3M特許 → Madico法人化 → 遮熱・断熱・防犯・デザイン・スマート・外貼りと進化して、今に至ります。
雑談でもOKです。
お気軽にどうぞ。